独立してシステム営業を行うようになってから、ちょくちょく遭遇する問題がこれ。
制作会社側と何かしらトラブルになった時に発覚する事が多く、私のところに相談に来られる方々がこの問題に直面しています。
私は法律の専門家ではありませんから、正直揉めてしまった後にどうするか、という事はお役に立てられないので専門家の方にバトンタッチしてお終いにするのですが。
ただ、同じ制作・開発業者として酷い事をするなぁ‥という事もあります。
当社は、最初に著作権の譲渡を明言していますし、お客様向けに作ったものを勝手に流用するという事はしない旨明言しています。それをした方が後になって何か起きてもお互いそれ以上不幸な関係にはなりませんし、必要な事を提示する事は開発業者の責務と考えております。
何が起きるかわからない前提で発注者側に意識していただきたいのは、最初に「著作権の帰属」「利用許諾の範囲」を確認していただく事。そして発注する前に契約書でそれを明示する、という事です。
以下では、実際に相談を受けた事例をいくつか挙げてみます。
ウェブサイトの構築を依頼したら、そのシステム会社が開発したCMS(Contents Management System:ウェブサイトの更新管理システム)上に構築するから安く作れます。CMSは保守する必要があるから保守契約が必要です。
そういう提案だったので制作を依頼し、保守契約も締結。最初は良かったが、数年経ち直すこともなくなったから契約解除を申し入れたところ、CMSの使用権がなくなるから契約解除したらウェブサイトはなくなります、と言われた。
システムは一般的にメンテナンスが必要だから保守料金が発生するのは理解できます。そのシステムを利用するための料金を支払うという事は合意の上だからそれ自体問題はありません。
問題は
1.ウェブサイトを使い続けている間は支払いが発生する
2.保守=何か見た目や機能を直す、という認識だったから保守に対し不満を持っていた
3.支払いが止まったらウェブサイトはなくなる
という事を発注前の段階できちんと伝えなかったために、発注者が認識できなかったという事だと思います。
お知らせやイベントなど頻繁に更新するサービスサイトの運用代行を制作会社が請け負っていたが、制作会社側で問題を起こし運用代行が十分に行われなくなった。そこで発注者は契約解除してサイトを別会社に引き継ごうとしたが、「所有権は制作会社にある。譲渡するのであれば〇〇円払ってください」と言われた。
関係性が良好なうちは良いですが、何か問題が生じた場合、例えば制作会社側で資金難になった時にそのシステムを人質にとられる、という事は実はよく聞く話です。だから、契約でカバーできることはするし、それ以外にもウェブサイトやシステムへの直接のアクセス方法(例えばサーバー情報など)を発注者側でも把握しておく必要があるわけです。サーバーやドメインなどの契約主体をよくわからないから制作会社に委ねる方もよく見かけますが、それは絶対に避けた方がよいです。自社で契約して、制作会社に貸与するかたちにしておきましょう。
開発がトラブル続きで1年遅れでβバージョンが出来上がった。これ以上の追加開発は不安なので別業者に引き継いでもらおうと考えたが、契約書を見ると使用権しかなかったため、最初に依頼した開発会社しか触れない状態になっていた。
契約書は最初から提示されておりました。開発業者が弁護士さんに依頼して作ったもので、内容も「著作権は開発業者にあり使用権を貸与する、でも利用許諾の範囲は発注者のみと制限されている」というものだった。最後の利用許諾を見て安心された。そのようにご相談いただいた方は仰っていました。関係性が良好であればそれでも良いのでしょうが、何かトラブルが起きたり信頼関係が損なわれると関係性を維持するのは苦労します。
開発会社側がこんな事本当は言いたくありませんが、システム開発規模が大きくなればなるほど、トラブルが起きる確率は高くなります。
システム開発でトラブル無しで進められるのは、数百万円規模(開発期間半年程度のもの)かな、という感想です。
個人的見解ですが、システム開発で一番難しいと感じるのは、発注者が描いているゴールを開発者全員が100%イメージ出来ているかというと、それが難しい点。
建物であれば完成イメージ図やミニチュアを作る事で、ある程度の全体像はつかめます。
一方のシステムは、完成イメージを作るくらいなら実際に作った方が早い、という世界です。完成イメージも目に見えるものだけではありません。どのような状態でどのような情報が入るからどのような結果になった、という動きをイメージできる事が重要です。当然ですがシステム規模が大きくなればなるほど状態数は増えていきます。状態数の掛け算で結果は増えていきますから、開発規模が大きくなればなるほど複雑になり問題が起きやすくなるのです。
もちろんそうならないよう、しっかりとヒアリングして資料に明記して「こういうことで合ってますか?」と確認しながら進めて行くわけです。
しかしながら価格勝負になると、その工程を省くのが一番効果的です。どういう状態があるか十分に確認する事をしなくなりますから、うまくいかないことも増えてくる。こうなるとバクチですね。
しっかりとシステム開発するのであれば、当然費用は掛かります。でも全パターンは網羅できないから費用をかけても何かしらのトラブルは起きるものです。
それを避けたければ、システム開発ではなく、プロダクトを購入して業務をそのシステムに合わせる‥という話になりますが、それはまた別の機会にお話したいと思います。
発注する前はあれこれ検討していくと思います。そして何を検討するか、という事はとても重要です。
成功パターンを作るための事業検討はもちろんですが、うまくいかない場合にどうする、という事も考える必要があるわけです。そのための契約書です。
話が長くなりましたが、少なくとも今回お伝えしたかったポイントは、「著作権の帰属」と「利用許諾の範囲」です。
ぜひ覚えておいてください。
当社では、システム開発やサイト制作以外にも、システムにまつわる様々な相談をお受けしております。
・システム導入を検討しているが、ITに詳しい人間が社内にいないから判断がつかない。
・社内SEを育成したい。技術的な事で相談したい。
・ウェブサイトで集客をしたいがどうすればよいかわからない。
・システム業者、ウェブサイト制作業者の言っている事が正しいかどうかわからない。
構築検討段階、構築中、運用中、それぞれのフェーズで社外CTO(最高技術責任者)、CMO(最高マーケティング責任者)的な関わり方で御社のビジネスをサポートします。
初回のご相談は無料ですので、お気軽にお問合せ下さい。
理念
私たちが開発したシステムやサービスを通じ、物心両面から豊かになってもらう。そして人生を楽しんでもらう。そこに私たちが存在する理由があります。
日々新たな製品・サービスを開発・ご提供し、最後まで誠意をもって取り組んで成果を出す。
ご縁を頂いた方やその先の人達に安心と満足をご提供出来る様、誠心誠意取り組んで参ります。